会話形式で楽しく学ぶ税務基礎講座
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文書作成日:2022/06/10



 無税で事業承継を行うには計画書の提出が必要ですが、いつまででしたか?


出演:  … M社 社長   … 顧問税理士



― M社 社長室にて ―

M社社長と顧問税理士が、打ち合わせを行っています。




 そういえば以前、先生から無税で事業承継を行うには計画書を提出して確認を受ける必要があると聞いたが。




 無税…、事業承継…。
 …あぁ、『法人版事業承継税制の特例措置』のことですね?




 恐らく。
 当時「この先10年無税で事業承継ができるらしい」という話をした際に。




 それは間違いなく『法人版事業承継税制の特例措置』のことですね。
 ざっくり言えば、一定期間内に対象法人が計画の確認を受け、一定期間内に贈与か相続でその法人の株式を取得した場合に、その取得者に課される贈与税あるいは相続税の納税を猶予する制度で、上手くいけば最終的にはその納税猶予分が全額免除される、というものだと当時ご説明しました。
 この制度がどうかされましたか?




 先日参加した同業者団体のセミナーで、計画書の提出期限が延長したと聞いたんだが。




 ご理解のとおりです。
 『特例承継計画』は、認定経営革新等支援機関の所見を記載した上で、都道府県知事に提出をして確認を受ける必要があります。この提出期限が当初は『2023年3月31日』でしたが、令和4年度税制改正で1年延長し、『2024年3月31日』となりました。




 延長した理由を聞きそびれたが、なぜだろうか。




 新型コロナウイルス感染症が影響したようです。
 2021年12月10日に自由民主党および公明党により公表された、『令和4年度税制改正大綱』の“令和4年度税制改正の基本的考え方”によれば、「今般の感染症の影響により計画策定に時間を要する場合もあるため、特例承継計画の提出期限を令和6年3月末まで1年間延長する。」と記載されていました。




 なるほど。
 じゃあ、適用期限も延長?
 その話は聞かなかったと思うが。




 そうですね。
 適用期限は延長されていません。
 2027年12月31日のままですね。




 そこは延長しないのか。




 そうですね。
 先ほどご紹介した文の次に『この特例措置は、日本経済の基盤である中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上が待ったなしの課題であるために事業承継を集中的に進めるための時限措置としていることを踏まえ、令和9年12月末までの適用期限については今後とも延長を行わない。』と記載されていましたので、適用期限の延長は予定されないようですね。




 なるほど。
 計画書の提出期限だけ延長、と。




 ご理解のとおりです。
 『法人版事業承継税制の特例措置』については、もう1点。
 後継者の年齢要件が、民法の成年年齢引下げによって、『20歳以上』から『18歳以上』に引下げられている点にもご留意いただきたいですね。




 ここでも、成年年齢引下げか。




 はい。
 ですから『法人版事業承継税制の特例措置』で変わった点としてご留意いただきたいのは、計画書の提出期限は1年延長されたが適用期限はそのままであることと、後継者の年齢要件が18歳以上になったことですね。




 まぁ以前にも話をしたとおり、子どもが継ぐにしても、まだ小学校低学年と幼稚園児だから。
 適用期限が延長されない限り、18歳には到底届かないな。




 そうですね。


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